「ギャアアアア!!!!」
土方の声に銀時は大声で叫ぶと頭を抱えて蹲った。
「な〜んてな…そんなに怖がってたのかお前」
頭上からは、笑いを必死に堪えているだろう感じの声が聞こえた。
案の定銀時が恐る恐る顔を上げると、最高の笑顔で土方が笑っていた。
勿論女ならイチコロの笑顔だ。
だが彼には、不快感と怒りしか与え無い笑顔だった。
「テメエェェェ!!マジ殺す!!絶対ェ殺す!!なぶり殺す!!」
と勢い良く立ち上がると土方へ飛びかかる。
「痛ェな!!何しやがる!!」
「それはこっちのセリフだゴルァァァァ!!」
怒りMAXの銀時に短気の土方は直ぐに触発され、狭いエレベーター内で二人の壮絶なバトルは始まった。
二人のバトルがあまりに白熱し過ぎたせいで、エレベーターは揺れに揺れ遂には安全装置が作動し止まってしまった。
「「マジデカ!?」」
エレベーターが止まってしまった事に白熱していたバトルも止まる。
「こんな無人ビルのエレベーターが止まって誰が気付くんだよ……」
「寄りによって閉じこめられる相手がテメェかよ」
嫌そうな顔をして銀時を見ると土方は溜め息を吐いた。
「そのセリフそのままバットで打ち返してやるよ」
「さらにそのセリフをそのままバットで打ち返してやるよ」
「それまたさらに………ってツッコミをいれる新八が居ねェんだ…続けたって意味ねーよ」
このまま言い争っていても埒があかないと二人はやめた…
---と言う感じで、事の発端は土方が銀時を脅かした事から始まったので明らかに土方が悪いのだ。
なのにこの男は、未だに自分のせいだとは認めていなかった。
「あ〜もういいわ…言い争ってたって熱くなるだけだ」
銀時はそう言うとエレベーター内で座り込む。
そして、その隣に土方も座る。
狭く密封された空間で言い争って居れば嫌でも熱くなる。
銀時は白い着流しを肩から下ろすとインナーの襟を掴んでパタパタと扇ぐ。
熱いのは土方も同じなので、カッチリと着ていた隊服の上着を脱ぐとスカーフを外し、ワイシャツの第二ボタンまでを外して胸を寛げた。
熱くて息苦しいエレベーターの中で
自然と二人の顎からは汗が伝う。
「……なんか以前にもこんな事あったな」
土方は銀時と出くわしまくっていた非番の日を思い出す。
「そうだっけか?忘れた…」
だが銀時は覚えていないらしい。
そんな彼に土方は多少イラついた。
「でっ?どうやってこっから出んだよ」
「俺が知る訳ねーだろうが」
「だよね〜」
「「…………」」
またエレベーター内は沈黙になる。
それを良いことに土方は隣に居る銀時を盗み見る。
すると何時の間にか先程よりもインナーのジッパーが下げられていて、白い肌が曝されていた。
おまけにこの中が蒸し暑いせいか汗ばんでいて酷く扇情的だ。
顔も程良くピンク色に染まり、銀色の髪はしっとり汗に濡れている。
正直エロいと思った。
「何?視線がやたらウザいんですけど」
「そりゃ悪かった」
土方が銀時から視線を反らすと、今度は銀時がコッソリと土方を見つめた。
何時もカッチリと着ている服が珍しく着乱れている。
見た目以上に逞しい身体。
そして綺麗な漆黒の髪が今は汗に濡れている。
横顔も本当に整っていて男の俺でも見とれてしまう。
正直色気にやられそうだと思った。
「視線がウゼェ」
銀時が余りにも土方を見つめていた為、先程彼が言ったセリフをそのままバットで打ち返すかの如く言われてしまった。
「……悪い」
「…………」
自然と目が合う。
こんな風にお互いを見つめたのは初めてだろう。
「………」
「………」
無心に見つめ合っていると、何時の間にか互いの唇同士が触れるか触れないかの所まで来ている事に気づく
。
「ヤベェ……キスしてェ」
土方の言葉に銀時は静かに目を閉じた。
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