閉鎖空間



息苦しい……




それにこの中は、かなり蒸し暑い…




一体どのくらいこの場に居れば良いのだろうか




そう考えて二人の男は同時に深い息を吐いたのだった。





《閉鎖空間》





万事屋を営む坂田銀時と真選組鬼の副長である土方十四郎は、二人揃ってエレベーターの中に閉じ込められていた。



「テメェのせいで閉じ込められちまったじゃねーか」

銀時はこの上ない程冷めた目で土方を見る。
そして土方も同じく冷めた目で銀時を見つめ返す


「あ?何言ってやがる…お前が暴れたせいだろーが」

「いやいや、暴れたのはおめーだろ」

「俺じゃねぇ…お前だ」

「嫌々お前だから!!」

「俺じゃねェ!!」


この言い争いは後30分は余裕で続くので先に進もう。



二人が何故こんな状態になったかと言うと…
それは今から遡る事一時間半前になる。







銀時と土方はどちらがより正真正銘の男の中の男かを競う為に無人のビルの前に居た。
(実にバカげてると言うツッコミはやめておこう。何故なら彼らは、正真正銘の大馬鹿だからだ)




「このビルは《でる》って話だぜ」


ニヤリと土方は銀時を見て笑う。
そんな土方を見て銀時もニヤリと笑い返した。


「へっ…それがどうしたよ?俺ァ怖くなんかねー」

「冗談はやめろ…お前冷や汗かいてるぜ?」

「ばばばばばばばばバカかお前?コレはその……アレだアレ…そのぉ……シャワー浴びた後に拭かず出てきたからだ」


言い当てられた彼は動揺しながらも必死に否定をする。


「バカはお前だろ……万事屋からどれくらい離れてると思ってんだ……拭かずに出ても乾くに決まってんだろーが」

「そー言うお前だって冷や汗かいてんじゃねーか!!」

「コレは冷や汗じゃなくて湿気だ」

「バカやろーメッチャメチャ晴れてんじゃねぇかホラ太陽でてんぞ」


土方も土方で銀時に図星をつかれ視線を泳がせた。
二人とも極度の怖がりなので仕方がない。



「取り敢えずビビった方はダメだな」

真剣な顔をして言う前の男に銀時はすかさず

「ダメって何がだよ」

とツッコミをいれたのだった。







結局一人ではビルに入る事も出来ず、二人同時にビル内をまわることになった。




中に入ると、真っ先に電気がついているエレベーターが二人の目に見える。



「取り敢えず乗っておくか」

「上等だ」


銀時がボタンを押してエレベーターを開けると土方が先陣をきって乗り込む。
そして後に続く。




「何階に行く?」

「屋上」

「了解〜」


扉が閉じて最上階のボタンを押すと静かに動き始めた



「………」

「………」




閉鎖された空間に沈黙が漂う。
未だ喧嘩しかした事のない二人に、この空間は非常に苦痛だった。



だが、何時も以上に土方の眉間に皺が寄っているのを疑問に思った銀時は声をかける。


「何かあった?」

「いや……何で無人のビルなのにこのエレベーターは、電気がついていて尚且つ動くんだろうってな」



そう言えばそうだと銀時は思った。



普通なら無人のビルで電気が通っている訳が無い。



仮に通っていたとしても非常口のライトとかならともかくエレベーターは普通通っていないだろう。



なのにこのビルは非常口のライトは消えていてエレベーターだけ電気がついている。




冷静に考えて有り得ない事だと思った。






その有り得ない事が今、実際起きている事に銀時は小刻みに震えだした。




なななな何震えちゃってんの俺……
ここここ怖くなんか無いもんね!!
銀さん強いから幽霊さんだって逃げ出す筈でしょーが!!
怖くない怖くない…


うん…怖くねェ!!



目の前の震える銀時に気付いたのか、土方はニヤリと笑みを浮かべる


「お前もしかして怖いのか?」

「べべべべ別に怖くなんかねーよ!!眉間に皺寄せちゃってお前が怖いんだろ?」

「な訳ねー」

「嘘言ってんじゃ「おい!!う…う……うしろ!!」」




銀時のセリフを遮ると指をさして土方が叫んだ。




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