仮面ライダー、ウルトラマン、FF7のクラウド、その他諸々。
このキャラクターの共通点皆様にはおわかりですか?
≪ヒーローになりたい≫
「はぁ……」
珍しく溜め息を吐く土方。
「何?どうしたの多串君」
銀時が訪ねると、土方は瞳孔の開いた目で銀時を見つめまた盛大な溜め息を吐いた。
「人の顔見て溜め息吐くとかものっそムカつくんですけど!!ぶん殴って良い?」
「ダメだ。俺も、人の名前もマトモに呼べないテメーがものっそいムカつくから殴らせろコノヤロー」
「ダメ」
銀時が土方の名前をマトモに呼ぶ事など激しい夜の営みくらいなもので、その事を多少……嫌、かーなーり気にしていた。
だが彼は、今もっと別の事を考えていたので敢えて考えないようにした。
「でっ、何考えて溜め息吐いてたんだァ?」
「……コレ言ったら馬鹿にされる」
「大丈夫だ。もう既にしてるから」
「ンだとコルアアアァ!!全然大丈夫じゃねェよ!!」
些細な事でムキになってくる土方。
普段はクールな面して煙草なんぞ加えて二枚目なのに……からかうとこんなにも
熱く反応を返してくる。
そんな土方を銀時は可愛いなと思った。
「まあまあ、落ち着きなさいよ」
「………」
「何考えてたんだ?」
再度訪ねると渋々ながらも土方は口を開いた。
「ヒーローになりてェ」
時が止まった様に万事屋は一気に静まり返る。
「は?」
漸く反応した銀時の一言。
一言と言うよりは一文字に土方は先程よりも力を込めて言う。
「俺ァな、ヒーローになりてーんだよ」
「お前、何言ってんの?ジャンプの見過ぎ?……ってお前ジャンプ読んでないよね?
」
「ジャンプ読んでなくたってヒーローになりてェもんはなりてェんだよ」
はあ……
成人男性がヒーローになりたいって……神楽くらいの歳ならまだしもコイツがヒーローって
……
「神楽と同じ事言ってんじゃねーよ…やっと神楽に『お前はヒロインになれても、ヒーローにはなれねェ』って説得したばかりなんだよ…なのに今度はお前かよ?」
「俺はヒロインにはなれなくてもヒーローにはなれるのか?」
銀時は真剣な眼差しで聞いてくる土方になんと応えたら良いのか言葉につまる。
迂闊に夢は壊せね―。
コイツの目は、ジャンプ読んでヒーローに憧れている少年の目だ……瞳孔は開い
てるけどな。
ヒーローよりも悪役の顔だけどな。
「今の職業考えて見ろ」
銀時の言葉に土方は静かに頷く。
「お前は、今何で飯食ってんだ?」
「幕府から金貰ってる」
「おィィィィ!!裏で賄賂貰ってるみてェな言い方やめろ!!」
「幕府から給料を貰ってる」
言い直した土方に今度は銀時が溜め息を吐いた。
「そうだ。お前は幕府から給料貰う変わりに武装警察真選組の名を貰い江戸を守
ってんじゃねーか。」
「…………」
「悪い奴らを罰する仕事をしててヒーローじゃないのか?」
ヒーローとは悪い敵からヒロインを守る。
ヒロインに限らず、守りたいものを守る。
と俺ァ思ってる。
その思い故、土方の仕事もヒーローの部類に入ると銀時は思った。
「小さいガキ共が一度は夢見る職業なんだぜ?お前の仕事はよぉ…分かりますか?お巡りさん」
こんな胸を張って自慢できる職業の・・しかも副長と慕われているのに何が不満なのか分らない。
「……俺は、お前も守れる様なヒーローになりたい」
「あれか?銀さんはヒロインかコノヤロー」
「俺がヒーローでお前がヒロインで良いじゃねぇか」
「嫌々良くねーよ!!俺もお前と一緒でヒーローにはなれてもヒロインにはなれねーから!!筵、俺もヒーローになりたいわ!!」
急にトンチンカンな事を言い出す土方に銀時は全否定する。
最早、ヒーローに憧れる少年の目など気にしていられない。
「第一、俺のがお前より強いんだしさあ…」
「俺の面でヒーローはあってもヒロインは絶対ェねェ」
「嫌々、ヒーローも絶対ェねェよ」
「ンだとコルアアア!!」
「ほら…その面はねェな」
声を張り上げる土方の顔を食い入るほど見つめるとそう言った。
「面とかどーでもいいんだよ」
「アレ?先に面って言い出したのお前じゃね?俺じゃ無いよね?明らかにお前だよねェェェ??」
真剣に話している事が、こんな風に冗談の言い合いみたいにしかなら無い事に土方は苛ついた
。
ヒーローになりたいと冗談の様に聞こえるかも知れないが土方は真剣そのものだった。
それを銀時に理解して貰えない事が苛立ちもしたが切なかった。
切なくて溜め息を吐くと冷静になるべく煙草に火を付け口に咥えた。
「はあ…クラウドになりてェな」
黙ったと思ったらまたもや呟くように誰かの名前を言った。
「クラウドって誰だよ?」
「F.F7の「土方!!お前はお前だろーが」」
銀時はもう聞きたくないと遮るようにして言う。
「お前は今のまんまで良いんだよ。お前がヒーローになっちまったら俺ァ、お前に近づけなくなっちまうから」
銀時の言おうとしている事が分からず先を促す。
「お前は只でさえ真選組の副長でテレビやら新聞やらに取り上げられてる人間なんだ……コレでヒーローになって見ろ?益々銀さんは人気者のお前に近付けなくな
るよ」
銀時が俺の事をそう思ってくれているなんて知らなかった。
初めて聞く銀時の胸の内に土方は嬉しさがこみ上げてきた。
「だからヒーローになりたいとかもう言うんじゃねーよ」
銀時が念を押すように土方に言うと土方は「………分かった」と言った。
そして、火をつけたばかりの煙草を灰皿に押し付け土方は銀時の直ぐ側まで行く。
「俺ァ、ヒーローになんかならなくてもお前を守れる強さがあればそれだけでいい」
「……銀さんのが強いけど……まあ、守られてやるよ」
「本当、たまにはおとなしく守られて下さい。守られてくれないと正直ヘコむからよ」
ヘコむ真似と言うか実際にヘコんだ土方を見て銀時は分かったよと優しく笑うのだった。
おしまい